餃子と自閉症

2023年4月21日

餃子は日本の国民食と言っていいほど食べられています。ラーメン、チャーハン、餃子は町中華の三種の神器とも言えるほどの人気です。

美味しい餃子をドイツで作ったら売れるかもしれないと思うのですがどうでしょう。

難しいのは、ドイツには強い対抗馬があり、こちらもドイツの国民食くらいのステータスですから、勝負は互角かもしれません。ただ地元の強みを考慮すると、ドイツでは、特に南ドイツではドイツの餃子、マオルタッシェに勝ち目があるかもしれません。

この餃子の勝負はドイツと日本だけでは治らない不思議な広がりがあります。イタリアのラビオレ、ポーランドのピエロギ。ひき肉を主体とした具を皮で包む料理は世界の至る所にあるので、餃子ワールドカップがそのうち開かれてもおかしくないほどです。

変わった話ですと、一番古い餃子は今のところ中央アジアで見つかっています。何を隠そう餃子の化石というのがあるのです。化石化した餃子ですから食べられませんが、とりあえずこの辺りでも食べられていたことは確かです。今でもこの地方にある一種の餃子料理は、友人との再会を祈って別れの時に一緒に食べる料理ということです。

中国では、お正月のようにたくさんの人が集まる時に、作るものだと聞いています。手が沢山だと数を作る時助かります。

ちなみに中国の人は餃子にご飯をつけません。餃子だけで食べます。しかも水餃子で、残ったものを翌日焼くというのが伝統でしたが、最近は日本からの逆輸入なのか、焼き餃子が人気なのだそうです。

 

先日支援施設の先生をしている方から不思議な話を聞いたので今日は餃子のことを書いています。その先生が担任されたお子さんで、自閉症と診断されている男の子なのですが、その子の餃子の食べ方が非常に特徴的だったのです。

餃子を口に含むと、餃子の具を口の中でバラバラにほぐして、そして具の中に何が入っているのかをいちいち点検するのです。口でほぐしたものは口の中に入ったままで舌の上で一つ一つ確認するのだそうです。そして入っている具が全部点検できるまで飲み込まないというのですから、餃子が好きなのか、嫌いなのかと聞いてみたくなります。

多分餃子が大好きだったら、具が何でてきているかなんてどうでもよく、パクパクと口にほうばって大機嫌なはずです。餃子が嫌いなら食べないで、ペッと吐いてしまうでしょうから、この自閉症のお子さんは、好きとか嫌いとかでは片付けられない、特殊な状況を生きているのだと思います。ただ一つ疑り深い性格であることは確かです。何が入っているのかが納得できないと喉元を通らないというのはやはり尋常ではない疑り様です。

ただこのお子さん最近はそれほどまでに舌の上で具をほぐす必要がなくなった様なのです。どう評価していいかわからないですが、とても成長されたんではないかと思います。

 

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