シューベルトで英語を勉強中
もう三十年前のことです。結婚してイギリスを旅行しました。新婚旅行と言うものです。
その時ロンドンのレコード店に入り、そこで英語で歌われた「美しき水車小屋の娘」を見つけ狂喜しました。勿論買いました。
そして家に帰って何度も聞いたものです、ところが、当時は英語よりドイツ語をしっかり勉強ししなければならない時期でしたから、だんだんと聞く機会が少なくなり、何時しかコレクションの中に埋もれていました。
ブログでも書いているのでご存知のこととは思いますが、今英語を勉強中です。簡単なものならすらすら読めるようになったのですが、読んでいても英語的言葉の流れが上手く作れないのです。
そこで考えたのが英語で歌を歌おうと言うことでした。
始めはイギリスの民謡、スコットランドの民謡。よく知っているものを歌っていましたが、ふとこのレコードのことを思いだして取り出して聞いてみたのです。
この曲集は過去に何百枚もの録音があります。99パーセント以上がドイツ語で歌われています。日本語で歌っている「美しき水車小屋の娘」にはいまだお目に掛ったことはありません。
レコートのジャケット、CDのブクレットには翻訳された歌詞が付いています。たいていは英語とフランス語です。が、その翻訳は意味は伝えていても、残念なことに歌えない翻訳ばかりです。しょうが無いことです。歌える様に翻訳するなんてそう簡単にできるものではありません。
しかし英語で歌っているこのレコードのジャケットの翻訳は歌えるのです!! しかも私の微力な英語でも意味がよく解る上に、韻も踏まれていて、しかも言葉のメロディーがドイツ語のときとほとんど同じに並んでいるのです。歌えば歌う程に楽しくなる英語で歌う「美しき水車小屋の娘」です。
言葉は歌われる時別の次元のものになることを、この素晴らしい翻訳で改めて感じました。
そういえば当時、ドイツ語を自分のものにしたいとあせっていた時にも、シューベルトの歌は大いに力になってくれました。シューベルトを歌うことで、ドイツ語が持っている「言葉の力」を身につけました。「言葉の力」は別のところでは文学的な香りのするよいドイツ語をどんどん読むことで、語彙数を増やし、言葉の感触を身につけて行きましたが、言葉はやはり喋らないことには生きたものにならないもので、シューベルトの歌曲には本当にお世話になったものです。そこで私のドイツ語を別の次元にまで持って行ってくれました。
今は英語で歌っています。ますます英語が楽しくなっています。
今までドイツ語の意味を曖昧のまま歌っていたところが、英語の翻訳を通して明らかになったところもあります。日本語で読んでも案外解らないところと言うのはあるものなのです。日本語では訳しにくいところがあるからでしょうか。詩の翻訳は事実上は不可能だと言うことでもあります。
以前に冬の旅を自分流に翻訳しました。自分で解る様にと言うことで訳したのですが、とても言葉の勉強になりましたから、今回も新しい「美しき水車小屋の娘」の翻訳でも作ってみるかと思っています。
外国語と言うのは、解った積りになっていても、半分くらいしか解っていなことが多いものです。
やはり自分の言葉にして始めて、身に就くもの、腑に落ちるものになるようです。
またまたシューベルトにお世話になってしまいました。感謝です。Danke schön いや Thank you very much!!