ひな祭り、春のひとときに
お正月、桃の節句(ひな祭り)、端午の節句、七夕、重陽の節句はいくつかの考え方が重なり合って祭り行事として受け継がれてゆきます。
一つは植物のお祭りです。お正月は松のお祭り(針葉樹)、ひな祭りは桃のお祭り(プラム系の木)、端午の節句は(菖蒲系)、七夕は鬼灯(ほおずき)、重陽の節句は菊です。
数字を見ると奇数のゾロ目です。なぜ偶数のゾロ目の日は何もないのでしょう。知ってる方がいたら教えてください。
明日はひな祭りです。ひな壇りには橙と橘の花が左右に添えられます。この橘の実の形が日本の和菓子の先祖だと聞いたことがあります。もう千年以上も昔の話ですが、日本にはこんな悠久な時間が生きているのです。
お雛様は十二単を纏い、お内裏様は烏帽子を被りと、やはり平安の時代を象徴しています。
ヨーロッパの春の祭典はイースター、復活祭です。ここにも色々な要素が混ざっています。この時期になると卵が登場します。卵型に削った木の卵に綺麗な絵を施して木にかけます。卵から生命が生まれると言うことで、磔になって死んだイエスが三日後に復活したという話が元になっています。卵に新しい生命の誕生というイメージををオーバーラップさせたのです。もちろん木にかけます。木は生命の象徴ですから。うさぎも復活祭では活躍します。うさぎは繁殖の象徴として使われているのです。十二支の子年のようなところががあります。
もっと古い話によると、人間も昔は今のようにいつも子どもが生まれたのではなく、四月に盛りがついて、つまり繁殖期になり男女が結ばれ、その後エジプトの宗教、ミトラ教、キリスト教などで主の誕生日に制定される十二月頃に満つ月になって生まれたと言うのです。うさぎはその繁殖の季節の名残だというのです。やはり生命の誕生を表現しています。
ヨーロッパの北の方は寒い地域で、春は五月です。五月は英語でMayで、この名前も実はマリアにたどり着きます。イエスの母マリアということです。ちなみにキリスト教のマリア信仰は、当時地中海に広がっていたギリシャ・ローマの宗教と当時の新興宗教であるキリスト教が先輩宗教の色々な要素を融合することで勢力を伸ばしたのです。大地の母デメテルにマリアを重ねて、マリア信仰が生みだされ、それがキリスト教が広がる大きな力となったのです。
今二人の孫娘たちのためにお雛様を出しています。ドイツはお祭りの日にお人形などを表に出します。ここだけはドイツの風習に従いました。クリスマスもそうでツリーは前もって買っておきますが、どこかに隠して、クリスマスイブに飾り付けをして部屋に置きます。
こうしたお祭りが政治や経済の都合で失われてゆくとしたら、その政治は相当罪深いことを人類にしたことになると思います。人間は「祭りごと」を通して魂の力を確認しているからです。