翻訳の現場からの途中報告

2023年7月1日

一般人間学とか普遍人間学と呼ばれる講演録を翻訳を始めてからしばらく経ちます。周囲からの希望もあり、意気込みから始めたわけですが、この講演録が包括している内容があまりに膨大なことが現実になってくると目が眩んでしまいます。今までよりわかりやすく翻訳したところで、ただ読みやすくなるだけのことで、内容が読者に伝わるという保証はないのです。内容はどんなに噛み砕いても優しくはならないのです。

わたしは今シュタイナーに関わっている人の範囲をこえた読者をターゲットにしていますから、旧来のシュタイナー節では却って読みにくく、それでは読者を獲得することはできません。シュタイナー節、口調はシュタイナーが大好きという人にはたまらなく心がいいのでしょうが、一歩外に出てみればか却って気持ちが悪いものですらあり、ご本家のドイツでも新版シュタイナーがあり、そこに手を加えて売り出しています。日本でも同様に、そこを考慮しないとせっかくのシュタイナーの考え方が広まらないということになってしまいます。

今までのような重厚な、分厚い本に手を出す若い読者層は想定しにくいので、そのあたりの体裁も時代に見合ったものにする必要がありそうです。

あるいはそうした時代に迎合することなく、頑固に十四回の連続講演をまとめて上梓するのも一興かとも考えます。

まだまだ続きます

コメントをどうぞ