お茶の先生の話。動きは心

2023年8月2日

茶道という世界、特にお茶室は色々な人が通り過ぎるところのようで、お茶の先生たちは、そのまれなる機会に多種多様な人との出会いがある様です。

お茶室でお茶をいただいていると心が透けて見えるものです。とさりげなくおっしゃっていた先生と偶然にお話をした時の色々なことをよく思い出します。とても印象的だったのです。

ただお茶を飲みに集まってくる茶室は何も大事なことが決まらない空間です。掛け軸がどおのこおの、お茶碗がどおのこおの、お花がどおのこおのと話しながらただお茶を飲むだけなのですが、それが人間のいちばんの本質を裸にしてしまう特効薬だったのです。

お茶室ではお茶の所作を見ているだけですが、そこに人間の全てといっていいほどのものが透けて見えるのです。

先生は特殊な能力があるわけではなく、しかも昨今よく見られるスピリチュアルな人でもなく霊能者の様な能力の持ち主でもないのですが、お茶で鍛えられる繊細な動き、繊細な運び、絶妙な息遣いは、お茶の世界での約束事以上の真実を明かしてくれるものの様です。

 

好きな服装で好きな格好していることで個性を表現していると思っていても、案外作られた流行の一端を担っているだけのことがあります。かえってみんながおんなじ服にまとめられている制服姿の中で、その人の個性が一番光っているように思うことがあります。自分で個性的と思っているのは単なる思い込みで本当はそんなに個性的でないものなのでしょう。

個性とかその人の本質なんていうものは、そのことを考えていない時に一番見え隠れしているものの様です。

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