終わりと始まり
今回の日本旅行に際しては色々な思いが錯綜していました。我が家の事情などを含め「最後の日本での講演旅行」になることをまずは考えていました。それとは別に、今までコロナの間のロスを含め三十年もの間各地の皆さんと一緒にお仕事をさせていただいたことへの感謝の気持ちを伝えたいとことも含めてでした。
そのことは予めお伝えしておいたことなのですが、各地で最終回と思って講演や声のワークショプをすると、皆さん口々に「次はいつですか、来年またお願いします、また来ていただきたいです」などと、私の告知しておいたことなど全く知らなかったようにおっしゃるのです。
正直それには驚きました。しかし同時に皆さんが私との仕事をそこまで評価していてくださっていたのかと思うと嬉しい気持ちの方が優っていたのです。
現実には日本とドイツの間の飛行機旅行が昔とは違って大きな負担になっています。飛行時間がほぼ二時間長くなりますから、最後の二時間の機内での疲れは厳しく、さらにその後の時差を取り戻すまで長い時間がかかり今までとは全く違います。疲れが取れないのです。旅行自体が大変な上に、今まで拠点としていた実家がなくなるとなると、拠点がなくなりますから、日本国内を移動するときなど、荷物の整理や、洗濯などを考慮すると、今まで以上の仕事量が加算されてしまいます。若くなって行くのならまだしも、一年一年歳を重ねますから、健康面での不安もあります。
旅行以前に下した「今回で最後にする」という決断はそれ自体半ば必然的な物だったのですが、実際に各地を動いて得た感触からすると、現実はかなり違った物でした。三十年続けた今までの講演旅行という形に一線を引いて、とりあえずは終止符を打ったに過ぎないものだという手応えの方が強いのです。
終わった後に始まりがあるというの本当なんだと感じています!
今後まだどの様なものになるのかは未知数ですが、私自身、見た目ばかりではなく、中身も日本人である訳ですから、日本でたくさんの方とお話しできることはこの上ないことで、そこから沢山力を得ることができます。飛行機による旅行と言う過酷な手段からの疲れと、日本の皆さんから貰える力とが今は私の中で格闘しています。