五月のオーロラ
私の誕生日を祝ってくれたかのように世界各地で見られたオーロラは、私が住むシュトゥットガルトでも短い時間観察できたのだそうです。真夜中のことで見ることができませんでした。返すがえす残念です。写真で見るととても鮮やかな赤に満天が染められています。
強烈な太陽風の煽りを受けてことだったそうです。十一年周期と言われている太陽の活動のサイクルからすると来年がピークにあたるそうなので、まだオーロラに出会える機会は向こうい一年の間度々あるのかもしれません。
昨年日本からドイツに北回りで帰る時、真夜中に北極の上を通過した時に機内の窓からオーロラをみることができました。地上から見上げるように見るのとは違い、空の上からのオーロラはまるで巨大なカーテンが空に浮かんでいるような雄大な姿でした。色は私が見た時は白に近い色でしたが、ほとんどが色を帯びているということなので、飛行機のガラス越しだったために色が失われていたのかもしれません。いずれにしても初めて見るオーロラには感無量でした。
知り合いにはオーロラを見るために何度も北欧に出かけて行く人がたくさんいますが、必ずしも見て帰ってきているわけではないので、飛行機から見ることができたのはラッキーの一言です。
同じ空を彩る虹の発生と夜空に広がるオーロラとは全く違うことが起こっています。虹は太陽の光と空気中の水蒸気の関係で生まれるもので、虹が発生している場所を指定することはできないのです。たとえ測定できたとしても、そこを観測してもなんら異常らしきものは観測できないのですが、オーロラは太陽の活動から発生するフレアにる太陽風が地球を取り囲む大気圏にぶつかることで生まれる現象です。この太陽風というのは私たちの生活に色々なアクシンデントを及ぼすもので、GPS、つまりナビに異常が生まれたりします。海を航海する船の位置決定に異常が生じるのは大変危険なことなで、毎回注意が促されます。時には地上の発電所にまるで落雷のような形で電磁波が流れ込むことがあって、アメリカのカリフォルニアで何年か前に発電所が大火事になったという報告がありました。
地球の気象にも大きな影響力のあるもので、気温の変化に影響が大きく、温暖化の大きな原因に数えられているものです。
オーロラを目撃できるのは嬉しいことです。今回のオーロラはしばしば観測されている北海道ばかりではなく、兵庫県でも見られたということです。しかも世界各地で同じように多く観測されています。
全国各地、三十にも及ぶほどの広い地域でみることができたということなのですが、向こう二日ぐらいはまだ期待できる可能性があるということですから、ぜひもう一度太陽には頑張って太陽風を地球に送っていただき、オーロラを再現してもらいたいものです。
私は一度だけの体験ですが、あの巨大なカーテンは忘れ難いもので、とんでもないものに出会ったという感動は今でも鮮明に思い出すことができるものです。もしかすると何度も見るというのがいいのではなく、かえって一回きりというのがいいのかもしれません。今日のような、なんでも記録できると考えられる時代には、この一回きりという体験は案外大切なものなのかもしれません。