揃ったアンサンブル
西洋音楽のアンサンブルでは全員揃うのが常識で、そのために息を合わせて演奏します。
そうした音楽作りに慣れている人間が、雅楽に触れた時に何を感じるのでしょう。
二つ考えられます。
一つは間違っている。もう一つはここに未来がある。
極端な反応があるのではないかと想像します。
化学を聞いて音楽体験と言えるものがあるのかどうかも気になります。
雅楽は、楽器を使って演奏するので、音楽です。
しかし聞いている楽曲は今まで聴いて来た音楽のどこにも属さないので、面食らいます。
リズム、テンポ、アンサンブル、全てが全く違った感性に根をもっているものです。
雅楽は極めて特殊な音楽です。
私も雅楽の音楽と相当大人になって向き合ったので、初めはとんでもないものでした。
ただ初めから雅(みやび)な雰囲気だけは伝わっていましたから、アフリカの音楽のような土着性とは別のものと感じていました。
雅楽の後アフリカの音楽を聴くと、この音楽が西洋音楽の出発点になっているかもしれないと思えるのですが、雅楽は全く異次元のもので、西洋音楽とのつながりは感じられませんでした。ここまで西洋音楽と遠くにある音楽はないと思います。
シルクロードを伝わって日本に辿り着いたものなので、そもそもは古代ギリシャの音楽と共通点があるのでしょうが、古代ギリシャの音楽もCDなどで聴く限り、ヨーロッパの音楽の起源とは言えないもののようでした。古代ギリシャからローマえと移行する時に何かが途絶えたような気がします。
アフリカの音楽には子どもの持つエネルギーのようなものを感じますが、雅楽から聞こえてくるのは成熟した大人の感性でした。
雅楽は完成した音楽だと今は考えています。それは植物の種が、そこから根を出し、芽を出し伸びてゆき、やがて花が咲き実を結んで最後は種になるようなものです。雅楽はそれ以前の音楽の最後の段階の種だと思いました。そこからまた新しい音が出て、芽が出てと変化してゆくのでしょう。
今回SHOGUNという、関ヶ原の戦いの時の戦国武将に焦点を当てた映画の音楽に雅楽がふんだんに使われていると聞きました。
石田多朗さんが総合アレンジを務めたそうです。
映画を見るのが楽しみです。