ライアーとシューベルト その一

2013年3月19日

シューベルトの沢山ある歌の中から、次の録音のための曲を選んでいます。

綺麗なメロディーが沢山あって、あれもこれもと欲張ってしまいます。

少しずつエンジンがかかって来て、楽しみながらやっています。

 

曲選びの他にもう一つやらなければならないことがあります。

シューベルトの歌を、どの様にライアーで弾いたらいいのかということです。

今までにもシューベルトの曲は録音していますから、経験者なのですが、今回は自分の中に今までとは何か違うシューベルトがいます。そのシューベルトが何をしたいのかを聞きださなければなりません。

 

参考にと、リストがピアノ独奏用に編曲したものを聞いてみました。Youtubeでラフマニノフが弾く「セレナード」を聞きました。ラフマニノフは素晴らしいピアニストです。短い曲なのにしっかりラフマニノフの世界を作っています。脱帽です。

古い録音なのに音がとても綺麗です。冴え冴えとして、透明で、うっとり聞き惚れてしまいました。

でもこれはピアノだからできることです。ライアーで弾く時には別のことをしなければならないという啓示をもらいました。

次にギターで聞いてみました。ギターでもそこそこの演奏がありました。もともとセレナードはギターを抱えて愛する女性の窓の下で奏でたものですから、曲のイメージとぴったりです。

でもそこから私がライアーでどう弾いたらいいのかのインスピレーションはもらえませんでした。

 

しょうがない、ライアーで弾いてみます。先ず歌のメロディーだけ弾いてみました。深く考えずに、ごく普通にです。いつも私が弾いている様にゆっくり目です。

ふとラフマニノフが伴奏の後に来るメロディーを、くっきり浮かび上がらせるように弾いていたのを思いだして、線の太い音でメロディーを弾いてみました。朗々と歌っている感じになってしまいました。なんだかとってつけた、いかにもつくりものという感じです。これでは誰も聞いてくれません。

 

ライアーとセレナーデの両方の必然性を備えていなければならないと考えています。そうでなければライアーで弾く意味がありません。一体ライアーはこの曲をどう弾きたがっているのだろう、シューベルトはライアーでどう弾かせたいのだろう。ここでひとまず袋小路に入ってしまいました。

 

お金を出してまで聞きたいライアーでのセレナーデ、それはどう言うものなのか、答えは、今のところ、「とにかく弾き込むしかない」というところにありそうです。

 

 

 

 

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