義母の死
義母、ハネリース・ヴァーグナーが7月17日金曜日16時25分に亡くなりました。享年86でした。腫瘍による気管圧迫のための呼吸困難が死因でした。
16日、木曜日の朝、突然呼吸困難を訴え医者を呼びました。数日前から急に体力が衰えていたようでしたが、これといって様態に変化があったわけではなく、呼吸困難は食べ物が詰まったのではということで入院の手はずをとりました。カメラを通して判ったのは腫瘍が気管を押し潰し空気が通らなくなっていること、さらにその腫瘍は厚く気管を覆っていて手術は不可能という事でした。しかも残りの命は二日長くても三日と言い渡されたのでした。
ドイツの病院のシステムでは、週末に亡くなった場合、遺体を引き取る事務手続きが取れないため、次の月曜日まで病院あづかりになります。そうなると遺体は冷たい冷蔵庫のようなところで安置されるのです。何としても自宅で息を引き取って欲しいと、金曜日の朝からそのために電話をしまくりました。自宅での死を主治医がサポートしてくれることを確認し、病院側の了解を得ました。義母に必要な酸素吸入のための酸素ボンベも自宅に備え、準備が整って義母を乗せた救急車が自宅に着いたのは四時十五分でした。
寝室のベットについた義母の呼吸はもうじき遠くへ行ってしまう人の呼吸でした。そんな中で義母はかすかに目を開けたのです。何を見るともなくぼんやりと見ていました。焦点の合わない視線でしたが、それでもきっと自分の部屋にいることはわかったのではないかと思っています。
数分後、眠るように静かに息を引き取って逝きました。とても安らかな死に顔で、話しかけると目を開けて答えてくれそうでした。
葬儀は昨日27日に、百人ほどの人に見守られの中、ルードヴィヒスブルクで執り行われました。