私の音楽から あふるる涙

2012年4月27日

シューベルトの「あふれる涙」は冬の旅からで、氷ついた川に熱い涙が落ちる話しです。

冬の旅は孤独な歌です。

絶望感があり、失望感もありと救いようがない重さがあります。

マーラーに大きな影響を与えています。

さすらう若者の歌は、冬の旅と同じ失恋のモチーフを扱っています。

失恋の涙は、深く人生の奈落に落ちて行きます。

自分の存在感が消えて無くなってしまう程に重く苦しい体験です。

あきらめがつかない中でもう一度自分を肯定する力を見つけなければなりません。

たいていの人が人生の中で一番初めに体験する辛さでしょう。

失恋の後も生きなければならない。

そこで人生が終わってしまう人だっている暗い辛い体験ですが、光を見つけてほしいものです。

 

ライアーは外に解放で気に発光する光ではなく、内側からにじみ出て来るしっとりとした光です。

もしかすると、私がそういうものとしてライアーを感じているだけかもしれませんが・・。

今までのライアー体験が私の好みを作ったと言えます。

何度聞いても、明るいライアーの音は、聞いていて気持ちがいいのですが、そこまでです。

その先は何か違うことがライアーの中に起こらないと生まれないのです。

 

私が聞きたいのは、内面的な光です。

光を聞きたいのです。

光は聞こえるものです。

人の声にも光がいっぱい持っている人とそうでない人がいます。

いい声、光のある声はそれだけで人の心を和ませます。

同じように、いい音の、光のある音をライアーは心の糧になるものです。

 

この曲は、三連符で音が上がったり降りたりします。

なみだを溜めた時の人間の中にある動きです。

シューベルトはなんでもないところに工夫があります。

写実的かと思うとそんな表面的なところで音を処理しているのではありません。

リアルであり、しかも人間存在の深みを感じさせます。

とにかく本当に僅かな音しか使わないのですから、本質的に語るしかありません。

ライアーでこの曲を録音しながら、ライアーが言葉を喋れないのがとても残念でした。

 

 

 

 

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