砂漠からの伝言、黄色い空

2021年2月7日

今日(二月六日)は昼過ぎから空が黄色くなってしまいました。夕焼けにはまだ早い時間の異様な空の色でした。時間にして午後三、四時間は続いて、そのあとは暗くなってしまいわからませんでした。後で、サハラ砂漠から砂が風に乗って来たためとわかりましたが、空全体が黄色に染まったのは初めての経験でした。朝から空はどんより灰色に曇って霧が深く、少し離れた場所は見ないほどでした。そこに砂埃が混ざったために起こった現象でした。近くの霧のかからなかった山間部では積もった雪の上に黄色い粉がかかった珍景色でした。

 

サハラ砂漠の砂というのは、よく目にする砂場の砂や浜辺の砂などを想像すると大間違いで、比べられるのはうどん粉です。砂と呼ぶ次元のものではないのです。その砂がアフリカのサハラ砂漠からアルプスを越えてドイツにまで飛んできたのです。そこにノルウェーからの寒波のために発生した霧が混ざって黄色い空をつくる、自然の雄大な遊びです。

 

このサハラ砂漠はヨーロッパからの旅行者が絶えない人気スポットなんです。ドイツに来てから長いこと聞いたことがなかったのですが、ある時私の知人にも何年かに一度はサハラ砂漠詣でをするのがいるのでそのことを知りました。彼は色々なところを旅行しているので、他の旅行話は聞いていましたが、サハラ砂漠に魅せられていたとは。ビジネスで成功して一日十何時間も働いている仕事の虫からすると、全く次元の違う時間と空間がサハラ砂漠にはあるので、命の洗濯には持って来いなのだということでした。

ここからはその友人からの又聞きです。夜空を見れば信じられない量の星があるし、植物の生態、オアシスなど知識で知っていることがことごとく裏切られるのだそうです。そんな話の中で、洪水で死ぬ人の数が半端でないというのを聞いた時には耳を疑ってしまいました。しかし雨が降ることがほとんどないので備がなく、一旦雨になると大洪水になってしまうのだそうです。最高の体験は砂嵐だということでした。砂嵐になると人知では砂を防ぐことはできないらしく、車などは嵐の後は中まで砂だらけ、いや粉だらけになってしまい、掃除が大変だそうです。都会的に密閉された窓は砂漠では全く役立たずのものになるそうです。

砂漠で一番驚くのは、清潔だということでした。人間がきてゴミを出してゆくのでそういうものが時々目につくだけで、自然としての砂漠は清潔そのもので、自然の偉大さを目の当たりにするそうです。文化生活の中では砂埃などは迷惑なだけのものですが、その砂の本場が文化生活以上に清潔だというのには驚きます。人間は進歩した、進化した、文明は発展したという基準はどこにあるのでしょうか。

ゴミの量でしょうかと皮肉ってみたくなります。

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